幻想龍、神剣と少年。

幕間 三 幸福論。


 きみに最期に伝えるコトバ

「幸せでした」なんてありきたりかな

 

 

 永遠を保つこの世界(ばしょ)で

 夕焼けが似合うきみが微笑んだ

 

 もうすぐ僕はいなくなる

 たったひとり、きみを残して。

 

 

 きみに最期に伝えるコトバ

「ごめんね」なんて陳腐だね

 きっときみは泣くだろうから

 幸せに、とだけ、祈らせて

 

 

 全ての咎を背負うように

 朝焼けがきみを責め立てる

 

 もうすぐ僕は死ぬだろう

 たったひとり、きみに……――

 

 

 どうして。

 出逢ってしまったのかな

 友だちになってしまったのかな

 最初にころしてくれたなら、

 こんな痛みはなかったのかな……?

 

 出逢わなければ、良かったなんて

 

(そんなこと、ぜったいに、ないよ)

 

 

 

 だって、ねえ……――

 

 

 きみと出逢って世界を知ったよ

 きみと出逢って思いを知ったよ

 きみと出逢って感情を知ったよ

 きみと出逢って良かったよ

 

 

 幸せでした

 幸せでした

 幸せでした

 幸せでした

 

 

 きみに最期に伝えるコトバ

「ありがとう」なんて違うよね

 きみは泣き虫だから、だから

 やっぱり幸せを伝えたい

 

 きみに最期に伝えるコトバ

「幸せでした」にしよう、きっと

 きみは泣きながら笑ってくれる

 きみとの日々は、「幸せでした」

 

 

 ありがとう

 きみとの日々

 これが僕の

 

 

 幸福論。