幻想龍、神剣と少年。

第七夜 ディアナ


 血に濡れたこの両手

 一体誰が許してくれるの?

 

 

『また君は泣いているんだね。

 沢山の神々を殺して。

 唯一の友を殺して……』

 

 

 星は残酷な運命しか

 与えてはくれなかった

 星を壊そうとした彼は

 その星に 殺されたんだ

 

 ねえ 【龍神】

 僕は今も生きているんだ

 沢山の生命を奪って 尚

 ねえ 【創造神】

 僕はどうすればよかったのかな

 嫌だ、と泣き喚けば よかったのかな……

 

 

『君が君の運命を拒んでも、

 星は君にそれを突き付ける。

 嗚呼、けれどお願い、生きて……』

 

 

 どれだけ叫んでも

 どれだけ泣いても

 僕が『僕』である

 それは変わらない 変わらなかった

 

 

「僕が生まれたことは

 果たして幸せなことなのだろうか……」

 

 

 唯一の友は 龍となり

 僕に殺されること 望んだ

 

 

「僕はもう 殺したくなんてないのに!!」

 

 

 残酷な星にはどんな叫びも届かない。

 

 

 ねえ 【龍神】

 僕は今も生きているんだ

 沢山の生命を奪って 尚

 ねえ 【創造神】

 僕はどうすればよかったのかな

 嫌だ、と泣き喚けば よかったのかな……

 

 ねえ 【龍神】

 僕は今も生きているんだ

 沢山の生命を背負って 今

 ねえ 【創造神】

 僕はどうすればよかったのかな

 きっとどうすることも できなかったけれど

 

 

 

 静かな空間で懺悔を繰り返す【神殺し】

 嗚呼、けれどその背には

 未来へ羽ばたける強き翼が……。

 

 

『人は脆く儚い。

 でもね……だからこそ、未来へ羽ばたいていけるんだよ……』

 

「未来、へ……」

 

『そう。

 貴方の運命は残酷なものばかり。

 でも、“諦めるにはまだ早い”でしょう?』

 

「僕、は……」

 

『歌神も時神も龍神も……みんな

 貴方に生きてほしいと、願ってる。

 貴方の人生は一人ではないよ』

 

「……」

 

『もう大丈夫そうね。

 なら、お行きなさい【神殺し】……。

 いいえ、ディアナ……』

 

 

 優しく 優しく 笑う【創造神】

 再び歩き出す 【神殺し】

 

 

 いつかまた 巡り会う その日まで……

 

 

「ありがとう……創造神アズール……」

 

 

 また泣きたくなったら

 この蒼空の下で……

 

 

「さよなら……龍神リシュア……」

 

 

 いつか、また。