幻想龍、神剣と少年。

第三夜 懺悔に嗤う星


『闇を抱くが故、人々に虐げられてきたキミ。

 悲しげに笑うキミを、オレはただ、守りたかった。

 ただ、それだけだった』

 

 

 きっと今頃キミは 泣いているのだろう

 薄れゆく意識の中 想うのはキミのこと

 

 一人にさせてしまった 嗚呼

 泣き虫なキミを

 きっと今頃キミは 泣いているのだろう

 

 けれど

 

 いきて いきて いきて どうか

 キミを想うオレたちの為にも

 いきて いきて いきて ルト

 オレたちの大切な……

 

 

『闇を抱いていようと関係ない。

 ただオレたちは、ルトが笑ってくれたら、それだけでよかったんだ』

 

 

 星はそんな願いですら

 叶えてはくれなかった

 

 

 きっと今頃キミは 泣いているのだろう

 紅に染まったオレたちを想い

 ただ独りで 泣いているのだろう

 

 

 嗚呼 でも

 

 いきて いきて いきて どうか

 キミを想うオレたちの為にも

 いきて いきて いきて ルト

 オレたちの大切な……

 

 

『キミを守るためにと取った剣は、

 結果的にキミを悲しませてしまったね。

 嗚呼、けれど、どうか、生きて、ルト……』

 

 

 懺悔に嗤う星

 消えゆく時神に 絶望を

 

 眼前に現れたのは

 紅に染まった【神剣】を持つ

【神殺し】……

 

 

「歌神は、僕が殺したよ。

 君たちを想い、死にたがっていたから……」

 

 

 その言葉に その憂う瞳に

 時神は ただ……――

 

 

 動かなくなった時神

 世界は彼を観てせせら笑う

 懺悔に嗤う星は そう

 今も変わらず 夜空に……

 

 

「さよなら、時神クロノス」